【ALDEN オールデン】エクスプローラー別注!日本初上陸の「Vチップ」。
2020.4.26
こんにちは。鈴木です。
引き続き店頭においては平常営業を自粛しております。詳細は下記リンク先をご参照ください。
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スプリングセールの影でひっそりとご案内した当店の20周年。準備段階ではこんな世界情勢になるとは思いもよらず。私たちも皆さまも「お祭り騒ぎ」どころじゃない雰囲気じゃないですか。
そんなタイミングで「神の悪戯」。別注のオールデンが上がって参りました。しかもオーダーしている別注の中でも最も楽しみにしていた「日本初上陸仕様」。枯渇状況が続く「コードバン仕様」。ある意味、ウチの20周年のタイミングで上がってきてくれた事には多いに感謝しているのですが・・・。ただ、このタイミングかって少しは思いましたけどね。外出自粛中の今、暇つぶしで当ブログをご覧の方もいらっしゃると思いますのでじっくりとご説明させて頂ければと。長いですが最後までお付き合い下さい。
ご存じの方が多いとは思いますがオールデンを初めて知る方の為にもブランド紹介もご用意しております。下記ご参照ください。
1884年、Charles H.Aldenがマサチューセッツ州のミドルボロウに設立したUSA(アメリカ)を代表する老舗シューズブランド。 最高品質の素材でウエルトされた紳士用トラディショナルシューズの製造に加え、ALDEN社は問題のある足でも適宜にフィットし、均整回復を可能にする整形法のデザインの分野を開拓しました。 ALDEN社はこの高度な専門分野の先駆者として知られています。 ALDEN社の整形法による製品の調査・開発は、トラディショナルシューズを快適で履き心地の良いものにすることに大いに貢献しています。 なかでも革の宝石とも呼ばれる馬革のコードバン素材を使用したレザーシューズには定評があり、世界最高峰のシューズブランドです。
早く見たいという声が聞こえてくるかのようですので早速。こちらですっ。
「定番のVチップじゃん・・・。」ってなりそうですよね?
この写真一枚でどこが定番のVチップと違うのか分かった方は凄いです。正直、上からのアングルだとほとんど分かりません。実はこのVチップ、「バリーラスト」なんです。日本で定番流通しているVチップの木型は「モディファイドラスト」。それはそれで完成されたカッコよさがあるんですが。今回は木型を「バリーラスト」にしてみました。それでもって「360°のリバースウェルト」も付けてもらって。意外や意外、この「バリーラストのVチップ・リバースウェルト仕様」は日本初。誰もが考えそうで意外とやっていない仕様。世界単位で見たらどこかのお店でやってそうですけどね。「日本初」には間違いございません。
私自身、モディファイドラストのVチップも好きです。なんですが、よりカジュアルに履きやすかったらいいのになぁってずっと思っていました。かといってハンドスキンステッチ(例えばタンカーオックスフォード)やクローンステッチ(例えばインディオックスフォード)のモックトゥになるとカジュアル過ぎる側面もあり。そもそもVチップである必要があるのかとも思いますし。というわけで中間のピンポイントなところを狙ってみました。
それでは別注のポイントともなる詳細な仕様のご説明を。
トゥの仕様は言わずと知れた「Vチップ」仕様。通称「Vチップ」。正確には「ALGONQUIN アルゴンキン」といいます。「Vチップ」の正式名称として使われる「ALGONQUIN OXFORD アルゴンキンオックスフォード」という表記は「外羽根のVチップ」という事になります。「アルゴンキン」よりも分かりやすいので「Vチップ」でご説明していきます。この「Vチップ」のデザイン、一目でオールデンと分かる独特のデザイン。「Uチップ」を改良して出来た独自のものであり、オールデンを代表するモデルです。いわれてみれば他の歴史ある靴ブランドではあまり見ないような気もしますね。あからさまにオールデンを意識して作っているブランドは別ですけど。
別注の一番のポイントとなる「ウェルト部分」。モディファイドラストのVチップは「フラットウェルト」なのに対して今回の別注は「リバースウェルト」。一番の違いはアッパーとソールの間に段差みたいなの(サイドにステッチが入っている個所)がある点。分かりやすく部分的に「赤丸」付けてみました。分かりますかね?
違いが分かりやすいように斜め上からつま先部分を撮ってみました。アッパーとソールの間に一段階の段差があるのが分かって頂けますでしょうか?本来はウェルトとアッパーの隙間に砂や埃が入る事を防ぐための役目がございます。横から見るとステッチが入っておりますが、これは飾りのステッチ。視覚的なポイントにもなっています。おそらく機能、強度には関係ないかと。これ、あるとないとで全然別物に見えます。
靴の周りを1周ぐるりとリバースウェルトが巻き付けられている「360°リバースウェルト仕様」。
勿論、ヒール部分もぐるりと。
サイドから見るとリバースウェルトの特徴的な見た目が分かりやすいですね。この武骨な雰囲気が堪らんです。
真上から見ても少しだけウェルト部分、コバが張り出しているのが分かると思います。これだけでの違いでも全体の印象がかなり違ってきます。
そして今回の別注のカギを握るもう一つのポイントは「木型」。日本で定番流通のVチップは「モディファイドラスト」。そして今回の別注は「バリーラスト」。この写真を見ればお好きな方であれば木型の違いが一目瞭然かと思います。上記写真の通りバリーラストは土踏まずの絞りが緩め。クセがなくオーソドックスでどっしりとした安定感のある木型。ドレスシューズの上品さに武骨さが加わったカジュアルにも履きやすいのが特徴。オールデンの世界的定番のプレーントゥの「990」「9901」、チャッカブーツの「1339」「1340」、ロングウィングチップの「975」「9751」にも使用されています。
どっしりとした印象のバリーラストですが履き皺が入ってつま先が少し反ってくると丸みを帯びて凄くカッコよくなるんです。オールデンの木型の中で新品よりも履いた方が絶対にカッコイイ木型ナンバーワンです。履いて丸みが出たバリーラストのオールデンは本当にカッコイイ。定番のプレーントウやチャッカブーツ、ロングウィングチップをお持ちの方はよーくご存じだと思いますが。
モディファイドラストのVチップにリバースウェルト付ければいいじゃんって話になりますがその仕様はオーダー不可。メーカー側がオーダーを受けてくれません。モディファイドラストには基本的にはフラットウェルトか一部でストームウェルトのみが可能でリバースウェルトでのオーダーは不可能。以前はモディファイドラストにストームウェルトもオーダーを受けてはくれませんでした。モディファイドラストのVチップはエレガントと形容される事もありますがエレガント過ぎないVチップが欲しかった事から今回の別注のバリーラストにリバースウェルト仕様のオーダーを考えた訳でございます。
お次はレザーのお話。使用しているレザーはオールデンの代名詞ともいえるホーウィン社の「コードバンレザー」。ホーウィン社が供給可能なコードバンの中でも最高品質のものを優先的に使用できるのもオールデンとホーウィン社の長きにわたる関係性のなせる業。噂ではホーウィン社の倒産の危機をオールデン社が数年分の大量発注によって救ったという話もあります。オールデン社がなければ今のホーウィン社は存続していないという事になります。それだけの関係性があればこそのコードバンのクオリティはお墨付き。
オールデンのコードバンは程よい厚みがありながら、しなやかなで形状記憶に優れており、一歩踏み出しただけで履きジワが残るほどの馴染みが特長。勿論、足全体にフィットし足当たりも良い、靴に適した素材といえます。「コードバン」は馬のお尻の革になるのですが世界的に枯渇していて上質なコードバンはどんどん減っていっている状況。昔は農耕馬が世界中にいた事を考えれば現在の枯渇状態も納得のいく話ですよね。機械化が進んでいる今、農耕馬だけでなく馬の絶対数は間違いなく減っているでしょうし。
お次はソールのお話。実は今回の別注はシングルレザーソールにしました。バリーラストにリバースウェルトとくればダブルレザーソールでしょっ。と考える方も多いと思いますが今回はあえてのシングルレザーソール。「モディファイドラストのVチップ」をカジュアルにしたかったという観点からダブルレザーソールでもと一旦は考えましたが、そこまでやってしまうと本来のVチップが持つ良さを損なってしまうのではないかと思い、あえてのシングルレザーソールに。
実際、バリーラストにダブルレザーソールの仕様はソールの返りが悪い事でソールのつま先部分への負担が大きいという難点もあります。イメージしてみて下さい。ソールが曲がりづらい靴で歩いた時の光景を。ソールのつま先部分に負担がかかって削れていきますよね。その点、シングルレザーソールであれば履き始めからソールが曲がりやすい分、つま先への負担は少なくすみます。つま先へスチールを付ける必要性が低くなる利点もあるかもしれないですね。つま先部分のスチールの必要性の有無は見解に個人差がございますので必要であると感じれば付けていただくのがよろしいかと思います。
ソールに厚みが出過ぎない事で今回の別注の意図する「カジュアル過ぎない、けれどもモディファイドラストほどエレガント過ぎないVチップ」に仕上げることができたのかなと。手前味噌ですが我ながら今回の別注は手応えばっちり。奇をてらってすぐに飽きてしまうような短期的な満足感ではなく、長きに渡ってご愛用していただける普遍性。そして実は少しだけ他人とは違う事によって自己満足に浸れる優越感。全てが絶妙なバランス感覚で仕上がったかなって。
難点を言えば定番との違いは恐らく説明(木型やウェルトの違い)しないと分かってもらえない点でしょうか。他人に分かってもらえなくても自分が満足していればそれでいいんですけどね。分かってもらえたら更に満足感も高まるって事で。オールデン好きな方に詳細を話したら「おっ、面白いねっ」てなるかもです。
オールデンの定番モデルはなかなかサイズが揃った状態でお客様にご案内ができない点がネックなんですが、別注の場合はサイズがしっかりと揃って入荷いたします。今回もしっかりとサイズが揃っております。まったく同じ仕様ではオーダーをしておりませんので今回を逃したら次はいつ出会えるか分かりません。というか同じ仕様でウチ、もしくは他店さんが別注としてオーダーしない限りは同じものには二度と出会えません。くれぐれもお見逃しのないようお気を付けください。
勝手ではございますが公平を期すために販売は5月1日12時スタートとさせて頂きます。こんなご時勢なので店頭で試着して下さいと言えないのが本当に辛いです。オンラインページご用意しておりますのでそちらからご検討くださいませ。事前のサイズのお問い合わせはお電話、メール等でお気軽にどうぞ。オンラインで靴を買うリスクを可能な限り軽減できるよう誠意対応させて頂きます。
下記からオンラインの商品ページをご覧いただけます。
□「日本初上陸」エクスプローラー別注バリーラストVチップリバースウェルト仕様
【ALDEN】BARRIE LAST CORDOVAN V-TIP N8607 – #8 BURGUNDY←クリック or タップ
5月1日12時販売スタートです。それまでは店頭・オンライン共に購入できませんのでお気を付けください。
オールデンは現在開催中のスプリングセール対象外です。。。
サイズやご不明点あれば下記からどうぞ。お気軽にお問合せ下さい。
長いブログに最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。今回は改めてオールデンの懐の深さを実感する別注となりました。この1足でかなり気分が上がりそうです。外出自粛の中、しばらくは家の中で眺めて楽しめるかなって。お見逃しなく。
鈴木
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